自維連立政権と女性宰相の誕生

今回の新政権誕生を巡ってはかなり大きな変化がありました。まず、公明党が26年間続いた自民党との連立を自ら解消し、入れ替わりに日本維新の会が自民党と連立を組みました。そしてその結果、自民党新総裁になった後「総理になれないかもしれないかわいそうな女」と自虐的に語っていた高市早苗氏が、第104代総理大臣として憲政史上初の女性総理になりました。

今後、日本の政治が良い方向に向かうのか、あるいは悪い方向に向かうのかについては、意見が分かれるところでしょうが、新政権に対する支持率を見てみると、共同通信の調査では64.4%、読売新聞の調査では71%と、歴代政権発足時と比べてみても比較的高い数字を示していて、特に若い世代での支持が高くなっています。

高市氏本人は、「何としてでも総理大臣になりたい」と、国民民主党や日本維新の会のみならず、N国党や参政党、日本保守党、無所属議員にも首班指名選挙での協力を仰いで回っていたようですが、まさにその執念が実ったということでしょう。一時、国民民主党の玉木代表を総理にする案が、自民党側からも野党連合側からも出ていましたが、当の本人がどっちつかずで煮え切らない間に維新の機を見るに敏な動きで一気に勝負がついた印象です。

そういう意味では、良いか悪いかはともかく、今回の勝者は高市氏と日本維新の会、敗者は国民民主党、立憲民主党、公明党といったところでしょうか。チャンスを生かせるか殺してしまうかは、勝負に対する執念と決断や行動のスピードであることを改めて分かりやすく示した事例だったように感じます。

12項目からなる自維連立政権合意書の全文を読み、高市氏の所信表明演説も聞きましたが、印象を一言で言えば、安倍元首相の自民党一強時代に回帰したいという意図を強く感じました。また、公明が抜けて、自民党の中でも右寄りの高市氏と維新が組んだことで、日本の政治が、安倍政権以降岸田政権までの時代よりもさらに強く右傾化していく印象です。

言うまでもありませんが、今の日本は、かつて世界第二位の経済大国だった時代とは外部環境も内部環境も全く違います。所信表明演説では「再び強い国を目指す」というような表現が多用されていましたが、国権を強くする一方で人権が軽視されるような国にしてはならないと思いますし、「強い国」よりも、「すべての国民が幸せで安全に暮らせる国」を目指して欲しいと思います。

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